東北地方は東日本大震災の被害を受け、多くの被災者が今も回復する途上にあります。傷ついた個人の回復と同様に、傷ついたコミュニティ-にも回復のプロセスがあります。その中で成長していく子ども達にも様々な問題が生じ、対応が迫られる場面も少なくありません。今回のシンポジウムは、異なる文化におけるコミュニティ-回復のプロセスを共有し、傷ついた子ども達の回復への手立てを考える機会とすることを目的に、3人のスピーカーをお招きし、12月19日(火)に仙台市内で開催いたしました。
◇プログラム
はじめに「開催挨拶~趣旨説明および日本の現状について~」
みやぎ心のケアセンター 企画研究部長 福地成
今回はオーストラリア、韓国、岩手県で「子どものこころのケア」に取り組んでいる3人のスピーカーから実践報告いただきました。
1)「大災害後に子どものための安全で支持的な環境をつくる」
メルボルン大学 シニア・フェロー(オーストラリア) オイゲン・コウ氏
コウ氏はアボリジニーのメンタルヘルス支援に注力し、コミュニティを対象とした傷つきの回復にも多くの知見をお持ちの方です。世話人や親、地域からの支援などが、子どものための安全で安心のできる環境につながることをお話くださいました。
2)「韓国セウォル号沈没事件の生存者と家族をどのように支えるべきか」
大邱(テグ)大学校 社会福祉学部 教授(韓国)ジンヒー・ヒュン氏
ジンヒー・ヒュン氏は、韓国の大邱(テグ)大学校で教授として教鞭をとるソーシャルワーカーです。今回は韓国セウォル号沈没事件の後、ご遺族、専門職、コミュニティーなど様々な関わり方について、お話くださいました。
3)「東日本大震災後の子ども達」
岩手医科大学/いわて子どもケアセンター 副センター長 八木 淳子氏
八木氏は岩手県において、東日本大震災で傷ついた子どもの診療に従事する児童精神科医です。「東日本大震災後に誕生した子どもとその家庭への縦断的支援研究」(みちのくコホート)の代表者としての取組みなど紹介くださいました。
今回、子ども支援に関わる方、精神保健福祉関係者など多くの皆様にご参加いただき、子ども支援への関心の高さも伺えました。
最後に当センター副センター長の山崎剛より閉会の挨拶を行い、初めての「子どものこころシンポジウム」は無事に閉会いたしました。
・・・今年も残りあとわずかになりました。
今年も当センターのブログをお読みいただきありがとうございました。
来年も当センターの活動や取組みについてホームページやブログにて紹介していきたいと思います。
当センターは12月29日~1月3日までおやすみになります。
年始は1月4日からになります。
それではみなさま風邪などひかぬように、どうぞ良いお年をお迎えください。
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